株式会社シェアメディカル様の共創モデル事例

聴診器に200年ぶりのイノベーションを起こした「ネクステート」を活用した共創モデル

株式会社シェアメディカル様

2014年に臨床現場により近い医療サービス企画をめざし創業、医療関連のデジタルデバイスの企画・開発・販売、医療用ソフトウェア、アプリケーションの企画・開発・販売を中心に事業を展開。
2019年には聴診器に200年ぶりのイノベーションを起こした、デジタル聴診デバイス「ネクステート」を販売。NTTスマートコネクトのプラットフォームを活用し、お医者さまと患者さまをオンラインで繋ぎ、患者さまの側で看護師がケアできる形態の D to P with N型のオンライン診療遠隔聴診プラットフォーム「ネクステート・シナプス」のサービス提供を実現。

峯社長の写真
株式会社シェアメディカル
峯社長

株式会社シェアメディカル×NTTスマートコネクトで共創モデルを実現

シェアメディカル様の開発したデジタル聴診デバイス『ネクステート』を活用し、NTTスマートコネクトは、オンライン診療システム向けに、聴診音のリアルタイムでの伝達に適したWebブラウザベースの音声・映像通信サービスを2021年1月下旬より提供を開始。
本サービスは、株式会社シェアメディカル様が医療機関向けにサービス提供する「ネクステート・シナプス」の一機能を担っており、同社が製造・販売を行うデジタル聴診デバイス『ネクステート』と組み合わせることで利用が可能となります。

ネクステート・シナプスを共同開発したきっかけとは

新型コロナウイルスの感染拡大により医療従事者の安全を確保する意味で患者さまと非接触で聴診を行いたいという要望が増加する中、シェアメディカル様はデジタル聴診デバイス「ネクステート」を開発し、医療機関に提供を開始した。そんな中、在宅診療で聴診を行いたい、オンライン診療と組み合わせて聴診を行いたいという要望が増加する。いわゆる「D to P with N型の診療で聴診ができないか」という要望が出始め、インターネットを利用したリアルタイム遠隔聴診システムを検討しました。そこで、一般のWEB会議システムと組み合わせて検証を行いましたが心音や呼吸音のような低周波数帯の生体音はフィルターされ伝達が上手くいかず困っていました。

そんな時にストリーミング技術を活用した新サービスの開発を検討しているNTTスマートコネクトが「ネクステート」に興味を示し、共同検討に向けたお話を頂きました。NTTスマートコネクトにはradikoを運営するなどストリーミング技術に関する高いノウハウがあり、弊社としても、「聴診音を伝達する」システムに課題を持っていたことから、是非とも共同検討を行いたいと返答しサービス共創がスタートしました。

元々、遠隔診療に対しては医療現場から懐疑的な声も多く、「遠隔診療を行うなら最低限聴診は必要、患者さまの表情や身体の映像を見ただけではわからない」という意見もありました。「ネクステート・シナプス」は実際に聴診が可能なスタイルのため、「遠隔聴診ができるシステムがあるなら中山間地域での訪問診療(医療MaaS)で使ってみたい」との声掛けが伊那市及びMONET社(※)からあり、トライアルを開始しました。

※ MONET社:移動型医療車両等を提供するソフトバンクとトヨタ自動車の共同出資会社

ネクステートの写真

ネクステート(Nexstetho)
※チェストピースは付属しません

■サービス提供イメージ
サービスイメージ図

医療課題にマッチしたサービスにより自治体からのお問合せも多数

伊那市でのトライアルを経てサービス提供を開始し、医療関係のみならず自治体からの多数のお問合せがありました。このような「ネクステート・シナプス」の反響の要因に関してシェアメディカル、峯社長は以下のように話します。

『「オンライン聴診」というものが一般の人に対してイメージしやすかったということが、まず一つ要因としてあります。医師の象徴でもある「聴診器」は馴染みのあるものであり、これをデジタルと融合してうまく利用できたからこそ反響が大きかったのではないかなと考えています。
また、社会の流れや現状に柔軟に対応できるサービスだったということも要因としていえるのではないかと考えます。
市町村の合併により自治体自体の最小単位というのは非常に大きくなり、自治体として医療過疎は非常に悩ましい問題です。医療の偏在化が進み、高齢者世帯の割合が高い過疎地では、訪問診療に係る移動距離が長いため、患者さまの通院が困難な場合が多く医師の稼働面の負荷が大きくなっています。
ムービング医療というような形で我々がいま取り組んでいるのは医療者自身が最小単位で対応ができること。このネクステート・シナプスを活用すれば看護師が1人で自動車に乗って村々を回ることが可能になり医師の負担を軽減しながらも患者さまの受診が可能になります。ネクステート・シナプスは、地方の医療過疎の切り札となり、今後も一般の訪問診療だけでなく、産褥検診等にも活用し、より多くの課題解決に貢献し得る可能性があります。』

ネクステート・シナプス利用中の様子

ネクステート・シナプス利用中の様子

また、ネクステート・シナプスを活用した伊那市の事例については、デジタル田園都市国家構想でも1つの成功モデルとしても取り上げられ、海外(ユーロニュース)でも報道されるほど注目を集めました。このような「ネクステート・シナプス」の成功は、オープンイノベーションのような形でMONET社など非医療系企業が医療分野へ参入する大きなきっかけとなり、新しい医療の提供スタイルに大きな影響を与えました。

今後、ネクステート・シナプスが貢献できる可能性とは

医師の働き方改革が求められる中、人の働き方にそった動き方ができる『ネクステート・シナプス』はまさに医師の移動による身体的負荷を大幅に軽減することが出来、診療効率向上に貢献することが出来ます。
また、コロナ禍、地方の過疎化、医療の偏在化等で医療提供体制の構築が求められる社会情勢の中、在宅医療の拡大及びそれに伴うオンライン診療の推進に貢献していくことが出来ると思っています。
都市部は一見医療が簡単に手に届くように思えますが、夜間診療や発熱外来など特定の診療科での医療過疎が進んでおり、「医療に在りながらも選択肢がほとんどない」という状況にあります。適切な場所に適切な医療を必要な時に届けるためにも、今後「ネクステート・シナプス」の対象診療科は増えていくだろうと考えています。
まだまだITの常識が通用しにくい分野ですが、社会に貢献できる医療という分野には多くの可能性があると考えています。「ネクステート・シナプス」が一つのロールモデルとなり、今後は「データビジネス」などに注力し社会における多くの課題解決に挑戦していきたいと思っています。

社会に貢献できるサービスを提供するという強い思い

弊社はベンチャー企業として今まで大手企業やその他企業も含め多くの企業とビジネスの共創を図ってきました。ただ、実際には多くの共創モデルはなかなか前に進まないことが多いのが実情です。特に医療サービスは、法律の規制などビジネス環境としては厳しく、また責任の重いサービス分野になります。そういった中、NTTスマートコネクトとは実際にサービス提供を実現できた共創モデルとなりました。迅速、柔軟な対応だけでなく、社会の役に立つ、貢献できるサービスを創っていくという強い信念が両社あったからこそ実現したと思います。今後もNTTスマートコネクトと連携を図りながらサービス提供、拡大を図っていきたいと思っています。

※当記事に記載されている内容は、2022年2月現在のものです。

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