はじめての動画配信コラム

教育現場で動画をうまく活用するには!

教育現場での動画配信の活用方法について、基礎知識から実践編まで解説します。

タブレットを操作する子ども

導入ストーリー(学習塾編)

教育現場で動画をうまく活用するには!
第3章: 学習塾でライブ授業を始めるには?≪ライブ配信実践編≫

学習塾でライブ配信を始める際に重要なのは、導入目的の明確化とその目的に合った動画配信サービスを選ぶこと。前回の「学習塾でライブ授業を始めるには?≪ライブ配信準備編≫(記事リンク)」では、導入効果を明確にするための5W2Hと、どのような動画配信サービスが自塾に適切かを選ぶための「8つのチェックポイント」をご紹介しました。

今回は、学習塾がライブ配信を実際に運用していく時に留意すべき点について、実際の活用事例を見ながらお伝えしていきます。

ライブ授業配信の導入イメージ

ライブ授業配信は、メイン教室での授業内容を、サテライト教室や生徒自宅でもリアルタイムに受講できるようにします。双方向コミュニケーション機能(ホワイトボード、チャット、アンケート等)を活用することで、遠隔であることを意識させずに授業がすすめられます。

ライブ配信している動画をアーカイブ化することで、オンデマンド配信用の教材として繰り返し活用することも可能です。人気講師による授業や入試対策などの特別授業を活用すれば、学習塾の付加価値が高まり、生徒獲得にも有効なアピールポイントになります。

また、生徒の自宅を「新たな教室」ととらえて、ライブ配信サービスを活用した個別授業を進めることもできるでしょう。個別授業により生徒の学力が向上し、進学率にも反映されてくることで、学習塾の付加価値はさらに高まります。

実際の学習塾導入事例にみる、ライブ配信運用7つのチェックポイント

実際にライブ配信を始めてみると、さまざまな問題が浮上します。いち早くライブ配信サービスを導入したW学習塾が直面した問題から、運用上留意すべき点を確認していきましょう。

W学習塾では、無料のインターネット動画共有サービスを用いた独自の手法で、数年前からライブ配信による授業を始めました。そこで直面したのは次のような問題でした。

  • トラブルの際の問い合せ先が不明
  • 動画視聴のための設定や使用方法の問い合わせが各教室に殺到。授業運営に支障が出た
  • ライブ配信時に撮影者など人手が必要で、カメラの位置も毎回変わるため、講師の表情や黒板などの見え方にばらつきが生じた
  • システムに詳しいスタッフがいなかったため配信設定が難しく、特定の講師による取り組みにとどまった
  • 生徒側の受信デバイスすべてに対応できず、ライブ配信での受講ができない生徒がいた
  • 回線が途切れることがあり、そのたびに講義も中断した
  • 一方的に配信するのみで、生徒の理解度が把握できない
  • 受講できなかった生徒へのフォローができない

運用を開始してからこのような問題で立ち止まることがないよう、この事例から学べるチェックポイントを整理してみます。

1.サポート体制と問合せ先の確認

ライブ配信の運用が、授業や生徒に影響を及ぼさないよう、システム、ネットワーク、ユーザー(生徒)、それぞれに対応する問い合わせ窓口を確認、整備しておきましょう。

2.ライブ撮影使用教室のレイアウトとカメラ位置をベストポジションで固定

ビデオカメラは家庭用のもので十分ですが、どの授業もベストな状態で見られるよう、映像、音、明るさなどを調整します。また、教室も普段通りで構いませんが、最適なレイアウトとカメラポジションをセッティングすべきです。定点からの撮影にすれば、先生は普段通りの授業に専念できますし、専任の撮影スタッフも不要になります。

3.撮影者や専門のシステム管理者不要のオペレーション環境

カメラも管理システムも、直感的に操作できるわかりやすい仕様を選びたいものです。撮影に関しては、先生がスイッチを押すだけで配信、録画が始まるものにすれば、撮影者を手配する必要がありません。

4.マルチデバイス対応

PC、タブレット、スマートフォンなど、さまざまなデバイスが使えることで生徒の利便性を高める、マルチデバイス対応が望ましいでしょう。

5.通信環境

配信動画の容量やアクセス数に影響されない通信環境を準備しましょう。
どのくらいの規模を見込むか、あらかじめ予測値をたてておく必要がありますので、事業者への相談をお勧めします。

6.双方向コミュニケーションツールやLMSへの対応

動画を配信しただけでは生徒の学力向上にはつながりません。遠隔授業でも、生徒一人ひとりの習得状況や学習レベルを把握できる仕組みが必要です。チャットなどの双方向コミュニケーションツールはもちろんのこと、LMS(学習管理システム:Learning Management System)機能を備えることで、生徒一人ひとりの視聴状況や学習進捗、理解度を確認しながら、個別に適切なフォローが可能となります。生徒の学力が向上し進学率を高めることが、学習塾の安定経営につながります。

7.ライブ映像の自動アーカイブ化

ライブ配信している授業を自動的に録音、アーカイブ化できる仕組みがあれば、欠席者や時間が合わなかった生徒に対しての補講に使うことができます。

このようなチェックポイントを事前に確認し、動画配信を開始した後に問題が生じるリスクを低減しておきたいものです。
また、無料の動画共有サービスを利用する際は、より注意が必要です。誰もが気軽に使うことができる一方で、配信の安定性やセキュリティ、コンテンツ保護の観点から不安な要素が少なくありません。生徒の個人情報やオリジナリティある授業のコンテンツなど、保護すべき情報を擁する学習塾では、極めて慎重な運用が求められます。

ライブ配信による授業を行っている学習塾は、まだまだ少ないのが現状です。黎明期の今始めることで、競合との差異化を図り、生徒や保護者に対して大きなメリットを提示することができるでしょう。

次回は、「ライブ配信準備編」と題し、学習塾でライブ授業を始めるための具体的なステップとチェックポイントについて解説します。

プラン比較へのバナー

  • 資料ダウンロードページへのバナー
  • 導入チェックシートダウンロードページへのバナー