wakuconeを活用し業務改善を実現
事例で視えた中小企業のリアル

残業短縮、ペーパーレス、テレワークの視える化など事例でわかったwakuconeの効果

左から順番にデジタルビジネス推進室山本真平、水野季子、髙島 里奈
左から順番にデジタルビジネス推進室山本真平、水野季子、髙島 里奈

本記事はASCII.jpに掲載された「wakuconeを活用し業務改善を実現 事例で視えた中小企業のリアル」を元に再編集したものです。

2023年03月30日
09時00分更新
文●
大谷イビサ
編集●
ASCII
写真●
曽根田元

長時間労働に2代目社長がショック 残業時間短縮化へ自ら取り組む

NTTスマートコネクトの「wakucone(ワクコネ)」は、働き方改革、DX推進、RPAやテレワーク導入など、多くの企業が抱える働き方の悩みを解決するクラウドサービスだ。wakuconeのサービスを紹介した前回に引き続き、今回は業務改善を実現した事例についてNTTスマートコネクト デジタルビジネス推進室の水野季子氏に紹介してもらう。

NTTスマートコネクト デジタルビジネス推進室 髙島里奈氏
NTTスマートコネクト デジタルビジネス推進室 水野季子氏

wakuconeはPCの操作ログを分析し、業務改善に結びつくアクションを提示してくれるサービスだ。2019年のサービス開始以来、多くの中小企業がレポートを元に業務改善やセキュリティ課題の解消に結びつけてきた。

最初に紹介する事例は、従業員20名、PC10台程度の自動車部品の卸売り会社。導入前は多くの従業員の残業時間が月100時間を超えていたという。社長も含めて、朝から夜遅くまで仕事をするのが常態化していた。 しかし、長時間労働の実態を改めてレポートで視た2代目社長はショックを受け、自らがリードし、時短を本格化することにしたという。

残業を減らすためにやったのは、日々の小さい取り組みの繰り返しだ。「残業相当を固定給へ上乗せするだけでなく、社長が率先して定時に帰宅するとか 、鍵の管理は管理職だけにするとか、業務終了を明確にするための終礼を実施するといった施策を実施されました」と水野氏は語る。

こうした業務改善を3年間続けた結果、残業時間は月70時間も削減されるようになった。残業時間が削減され、労働時間が減ったにもかかわらず、新たにEC事業も立ち上げて、売上も上がったという。

ここまで劇的な導入効果を実現した1つの理由は、社長がデータやITを重視する2代目だったからだという。「1代目は直感で成功された方、社会人経験を積んで実家を継ぐ2代目はデータを元に経営する方が多い印象です。事業の経験が浅くても、データ経営にアレルギーのない後継者がwakuconeを活用いただくことで、新しいマネジメントスタイルを確立していただけています」と水野氏は指摘する。

業務改善をリードしたのは社長だが、こちらの会社が成功したもう1つの理由は専任のIT担当者がいたということだ。従業員20名規模の会社でIT担当がいるのは珍しいが、マクロも組めるようなPCに詳しい生え抜き従業員が偶然在籍していたのだ。経営者と二人三脚でITの導入にも注力したため、うまくいったという。

印刷作業分析でペーパーレス 繰り返し作業分析でRPA導入

2つ目の事例はスタッフ10名程度の社労士事務所。こちらはwakuconeを活用して、ペーパーレスを実現した事例になる。「事務作業をなるべく辞めて、お客さまを助けるための知的労働に専念させたいという所長の思いがありました」(水野氏)とのことで、やはりリーダーの思いは大きい。

最初に手をつけたのが、印刷作業分析。月次レポートの自動コメントを視て、他社より印刷枚数が多いことに気づいた。印刷枚数の多いものからチェックしていくと、紙への出力は顧客への提出物が多かったという。そこで、顧客に許可をとって、可能なものからPDF化を図った。

wakuconeの印刷作業分析でペーパーレス化を検討できる
wakuconeの印刷作業分析でペーパーレス化を検討できる

ペーパーレス化が進まない理由として、顧客や取引先の対応遅れという背景もあるが、不要なものをなくす勇気があるか、経営者の行動力次第という部分もあるという。「こちらの所長は取引先や顧客との対話力があり、比較的スムーズにPDF化が実現できました」と水野氏は語る。

3つ目の事例はwakuconeで繰り返し業務を抽出し、RPA導入を効果的に行なったという事例だ。もともとこちらの会社では受発注の自動化を進めるためにwakuconeで繰り返し作業を探っていたが、繰り返し作業の上位に来たのは、FAXのリネーム作業だったという。

こちらの会社では受発注のためにFAXを使っていた。受信したFAXはスキャンされて、送信元の電話番号をファイル名として、特定のフォルダに格納されていた。しかし、ファイル名が電話番号だとどこから受信したかわからない。そのため、これまでは担当者が中身を開いて、電話番号のファイル名を送信元の名前にリネームし、別のフォルダに移動させていたという。

wakuconeで調べてみると、この作業は朝、昼、夕に繰り返し発生しており、月15時間くらいになっていたという。思いのほか時間がかかっていたことがわかったため、RPA化はここから着手。リネームと別のフォルダへの移動をRPAで自動化したことで、月15時間の作業が30分程度で済むようになったという。RPAの前さばきという点でもwakuconeの有効性は高いわけだ。

視えなくなっていたテレワークの働き方を可視化

4つ目はコロナ禍に導入されたテレワークの働き方をwakuconeで可視化した事例だ。wakuconeを使えば、一定時間以上の労働時間を超えるとアラートが表示される。また、日次レポートを視れば、従業員がオフィスに来なくなり、視えにくくなった働き方をきちんと確認できる。「長時間残業していた場合は、マネージャーが気遣い翌日にケアできます。イチから作業内容を聞かずに済むので、業務負担が減ったというお声をいただいたこともあります」(水野氏)。

日次レポートで、テレワークでの残業時間の業務が把握できる
日次レポートで、テレワークでの残業時間の業務が把握できる

wakuconeは勤怠管理サービス「KING OF TIME」との連携も可能だ。つまり、wakuconeの操作ログと、勤怠管理サービスで打刻された出退勤時間を照らし合わせることができる。とはいえ、まさに働き方の実態がデータでつまびらかにされるので、企業によっては勇気が必要になるのも事実。「『本当は勤怠管理もやらなければならないけど、なかなか視る時間が取れない 』『知ってしまうと、なにか対策を打たなければならないので困った』という会社もあります」と水野氏は語る。この辺りが中小企業の働き方改革のリアルといえる。

テレワークでの勤怠管理は、一番wakuconeの導入に結びつきやすいという。「皆が出社していたときは視えていた働き方が、テレワークで視えなくなったという例です。これをまた視えるようにすべく導入したいという話なので、シンプルですね」(水野氏)。また、中小企業のウィークポイントであるセキュリティ対策ツールとして導入される企業も多いという。

総じて、顧客からのwakuconeへの評価は高い。いったん専用ソフトをインストールしてしまえば、あとは勝手にログを収集し、分析してくれるという手軽さが受けている。また、可視化のみならず、レポートが業務改善にきちんと結びつくのも大きなメリットだ。「お客さまとしてはいつも通り作業していただけなのに、繰り返し作業が抽出できるというのはいつも驚かれます。あとは日次レポートも喜ばれますね。今まで徹夜で操作ログを調べていた方からは、お礼のメールが来たこともあります」と水野氏は語る。次回はwakuconeのコンセプトや開発の舞台裏を紹介していこう。

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